第68号

オープンモデルを使うとき、トークン単価と運用コストはどう変わるのか

GLM-5とGemma 4を機に、エージェントのAPI料金と自前運用コストを見てみます

AI・テックオープンモデルを使うとき、トークン単価と運用コストはどう変わるのか

エージェントにどのモデルを使うか、改めて計算してみるとき

オープンモデルとは、モデルの学習結果である重み(パラメータ)を公開し、利用者がダウンロードして実行できるようにしたモデルを指します。許可される利用範囲はライセンスによって異なります。必要な機材を用意すれば自分のパソコンや自社サーバーで実行でき、他社が運営するAPIを通じて利用することもできます。

Googleが4月2日に発表したGemma 4も、こうした選択肢を提供しています。スマートフォンで使える小型モデルからサーバー用モデルまで公開し、商業利用を許可するApache 2.0ライセンスを採用しました。

同じ日、LangChainのDeep AgentsチームはGLM-5とMiniMax M2.7を、Claude Opus 4.6やGPT-5.4などと比較した独自の評価を公開しました。ファイル修正、ツール呼び出し、指示の実行といった作業において、安価なモデルも活用できる可能性を示す結果でした。この評価はAPIで実行した結果であるため、すべてのモデルがすぐに個人のパソコンにインストールできるという意味ではありません。

私は何度も述べてきたように、ベンチマークのスコアだけでモデルを選ぶことには懐疑的です。今回関心を持ったのも、価格と実際の業務性能の関係でした。自分たちの業務を満足のいく水準でこなせるモデルが複数あるなら、そこから先はコストの差が選択に大きく影響します。

出力100万トークンの価格は25ドル、3.15ドル、1.2ドル

Deep Agentsチームが4月2日の記事で示した出力トークンの価格は次のとおりです。これはモデルが回答を生成する際に発生する料金で、私たちが送る入力トークンには別途料金がかかります。

モデル提供経路出力100万トークンあたりの価格
Claude Opus 4.6Anthropic25ドル
GLM-5Baseten3.15ドル
MiniMax M2.7OpenRouter1.2ドル

出力単価だけを見ると、Opus 4.6はGLM-5の約7.9倍、MiniMax M2.7の約20.8倍です。ただし、安価なモデルが答えを得るまでにより多く再試行したり、より長い回答を生成したりすれば、作業1件あたりのコスト差は縮まります。

1日1,000万出力トークンを365日使うと仮定してみます。Opus 4.6は1日250ドル、MiniMax M2.7は12ドルとなり、年間の出力料金差は86,870ドルです。入力料金、キャッシュ割引、ツール利用料を除いた単純計算ですが、使用量が多いほど単価を細かく見る理由は十分にあります。

Gemma 4は自前で実行する選択肢も提供します

Gemma 4のように重みを公開したモデルは、API料金と自前運用のコストを併せて比較できます。会社がすでに持っている機材、処理する作業量、運用要員によって有利な方式は変わります。

発表当時、Gemma 4はE2B、E4B、26B MoE、31B Denseの4種類でした。E2B・E4Bはモバイル機器での実行を想定したモデルです。名称の数字は、モデル全体のサイズと正確には一致しません。26B MoE1は計算時に全パラメータのうち一部を活性化し、31B Denseはより大きなメモリを必要とします。31Bを一般消費者向けGPUに載せるには、重みを圧縮する量子化や十分なグラフィックメモリなどが必要です。

エージェント開発に役立つ機能も盛り込まれました。関数呼び出し2と決まった形式のJSON出力に対応しているため、モデルの応答を外部ツールに接続しやすくなりました。実際にツールを実行し、権限を確認し、エラーを処理するソフトウェアは、開発者が別途用意する必要があります。

Apache 2.0ライセンスは商業利用を許可します。自社サーバーで直接実行すれば、外部業者にトークン単位のAPI料金を支払う必要はありません。その代わりに**機材の購入・レンタル、電力、保守、運用要員のコストを負担します。**既存の機材であっても、他の作業に使える資源であるため、コストがゼロだと計算してしまうのは問題です。

API同士を比較する際も、まず料金表の基準をそろえる必要があります。入力・出力を混ぜた平均単価と出力専用単価を並べてしまうと、価格差が誇張されます。提供業者、入力と出力の比率、キャッシュ適用条件をそろえたうえで、自分たちの作業量で計算するほうが正確です。

再試行が多いと、低い単価も大きなコストになる

エージェントを運用するとき、単価と併せて見るべきなのがモデルの呼び出し回数です。一度答えて終わるリクエストと、ファイルを修正して試験まで行うリクエストでは、処理の過程が異なります。

例えば、コードを修正するエージェントは計画を立て、ファイルを読み、修正結果を試験したうえで、失敗すればまた直します。各段階でモデルを呼び出し、以前に読んだ内容や実行結果を改めて渡すこともあります。何回繰り返すかによって、同じユーザーリクエストのトークン使用量も大きく変わります。

そのため、コード修正1件にトークンがいくらかかるかは、作業範囲と再試行回数が分からなければ計算できません。入力トークンと出力トークンを別々に記録し、完了した作業数と失敗した作業数も併せて見る必要があります。

単価が下がっても、使用量がそれ以上のペースで増えれば総額は上がります。例えば、単価が半分になった後で使用量が3倍になれば、料金は以前の1.5倍です。モデルの使用量が増えている会社であれば、単価の引き下げだけを見て予算が減ると見込むのは難しいでしょう。

**私が比較したい値は、業務1件を満足のいく水準で終えるためにかかった総コストです。**安価なモデルが何度も失敗し、人が改めてやり直す必要があるなら、その時間まで含めて比較すべきです。逆に、反復業務を安定して処理できるなら、小さな単価差も積み重なっていきます。

モデル選択と業務との接続は、併せて設計する必要がある

使えるモデルが多様になれば、サービスを作る会社が決めるべきことも増えます。どの業務にどのモデルを使い、自社の資料やツールをどう接続し、失敗したときにどう復旧するかを決める必要があります。私は、この運用能力が事業の重要な差になり得ると考えています。

Deep Agentsは、同じ実行環境の中でモデル設定を変えて試験できるように設計されています。モデルが一度に処理できる文脈の長さに応じて、会話の圧縮を調整する機能もあります。こうした機能があれば、モデルを変えるたびに周辺ツールをすべて作り直す必要が減ります。

こうした実行環境をハーネス(harness)と呼びます。ツール呼び出し、ファイル処理、文脈管理などを担うソフトウェアです。複数のモデルとツールの作業順序を調整するオーケストレーション3も、ここに含まれ得ます。

とはいえ、ハーネスという名前を付けたからといって、すべてが特別な資産になるわけではないと思います。Markdownの指示書やJSON設定を集めるだけで競争力が生まれるわけではありません。自社の知識を接続し、権限を設定したうえで、実際の業務でどれだけ安定して動くようにできたかが重要です。

Deloitteも2026年1月の記事で、API利用と自前インフラ運用を分けてコストを計算する必要性を説明しています。トークン使用量に見合ったモデルを選び、文脈の長さを管理し、予算を超える前に通知を受け取るなど、具体的な運用方法を提案しました。

Oswarldの視点

直接感覚をつかみたいなら、Google AI Edge GalleryでGemma 4の小型モデルを試してみてください。iOSアプリとAndroidアプリがあります。私が使ってみたときは、体感としてGPT-4oを思い出しました。同一条件で性能を試した結果ではありませんが、スマートフォンの中でこの程度の応答が得られる点が印象的でした。ダウンロードする容量や使える機能は、選んだモデルと端末によって確認すればよいでしょう。

私はこの変化を、GTM戦略――すなわち製品をどの顧客にどのような方法で販売するかという観点から興味深く見ています。外部APIを利用する製品は、モデル提供会社の価格や方針の影響を受けます。自前で実行できるモデルが増えれば、サービスを作る会社にとっても価格やデータ処理方式を選ぶ余地が広がります。

業務に必要な性能を確保できるのであれば、一部の作業は自社サーバーやユーザーの端末に移すことができます。インターネットに接続せずにモデルを実行することも可能です。ただし、検索のように外部情報を取得するツールまでオフラインで動作するわけではなく、すべての会社にとって直接運用するほうが安く済むわけでもありません。

ベンチマークは候補を絞り込むために使い、最終的な選択は実際の業務で試してほしいと思います。Deep Agentsの公開評価は138件のテストケースに基づいており、モデルごとに推論設定も同一ではありませんでした。その結果を、顧客データ、長時間の作業、例外的な状況まで含めたサービス全体の性能に拡大解釈するのは難しいでしょう。

私であれば、既存モデルが処理している業務の一部を選び、別のモデルにも任せてみます。正答率、完了までの時間、再試行、人が手を入れた時間を併せて記録すれば、切り替えてよい作業と既存モデルが必要な作業を判断しやすくなります。

おわりに

  • 4月2日に公開された価格表で、Opus 4.6の出力単価はGLM-5の約7.9倍、MiniMax M2.7の約20.8倍でした。実際の作業コストは、入力量や再試行にも左右されます。
  • Gemma 4のように直接実行できるモデルは、API利用料と機材・人員などの自前運用コストを比較する選択肢を与えてくれます。
  • モデルを選ぶときは、単価と併せて業務1件の品質、完了までの時間、人が改めて処理した時間を見る必要があります。

次にAIツールのコストを検討する際は、普段繰り返している業務を一つ選んで比較してみてください。自分たちの業務でどのモデルが十分な水準をこなし、いくらかかるのかを確認することが出発点です。

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参考資料と関連リンク

著者 アン・グァンソプ(Oswarld) は世宗大学校 兼任教授、INLEVEL9 戦略コンサルタントです。経歴、研究、著書、最近の活動は著者紹介で更新しています。 最近の活動 · 2026年7月:HEMA-2: A Consolidation-Aware Tri-Memory Architecture with Multi-Channel Scheduling for Lifelong Conversational AI。

각주

  1. MoE(Mixture of Experts)は、入力に応じてモデル内部にある複数の演算モジュールのうち一部を選んで使う構造です。全パラメータを毎回計算する必要はありませんが、実際の速度やメモリ使用量はモデルと実行環境によって変わります。 ↩

  2. 関数呼び出しとは、モデルが使用するツールと渡す値を、決まった形式で出力する機能です。呼び出しを受け取り、実際にツールを実行するプログラムは別途必要です。 ↩

  3. オーケストレーションとは、モデルとツールをどの順序で実行し、結果やエラーをどう処理するかを調整することを指します。 ↩