MetaとBlockが管理業務を分担する方法
MetaとBlockは報告や業務調整にAIを活用し、評価・人材育成は新しい役割に任せようとしています。肩書きよりも権限と責任がどう変わるのかを見てみました。
ビジネスMetaとBlockが管理職の役割を変えつつある
MetaとBlockは、AI活用を前提に組織を変えつつあります。管理職を減らす動きとともに、既存の管理業務を別の役割に分けて担わせる変化も見られます。
Business Insiderの報道によると、Metaは Reality Labs の約1,000人規模のチームで、肩書きと役割を改編する試験プログラムを始めました。Blockのジャック・ドーシーは、自分と約6,000人の従業員の間にある管理階層を今年2〜3段階に減らしたいと語りました。最終的にはすべての従業員が自分に直接報告する構造を理想的なケースとして示しています。実行が終わった結果とこれからの目標は分けて見る必要があります。
私は、両社が管理職の業務をどのように分けているかに注目しました。進捗状況を集めて伝える仕事、優先順位を決める仕事、従業員を評価し成長させる仕事はそれぞれ異なります。報告段階を減らしても、これらの仕事は誰かが担わなければならないからです。
報告・評価・人材育成を別の役割に任せる
Metaの当該チームには「AIビルダー」「AIポッドリード」「AIオーグリード」という3つの肩書きが導入されます。全員がAIビルダーになるわけではありません。ポッドリードは日常的な業務進行を担い、オーグリードはAIの支援を受けながら成果評価と昇進を管理します。報道された内部文書によれば、今回の改編でチーム全体の人員は変わらないとのことです。
Blockは、AIが情報伝達と業務調整をより多く担う構造を構想しています。ジャック・ドーシーとSequoiaのルロフ・ボータは3月31日のエッセイで、会社のコード・設計・議論・進行記録をAIが継続的に把握すれば、管理職を経由して報告を伝える段階を減らせると主張しました。エッセイが説明するAIシステムには、顧客のニーズに合わせて金融機能を組み合わせる「インテリジェンス・レイヤー」も含まれます。1
人の役割は、実務専門家、特定タスクの責任者であるDRI2、実務と同僚育成を兼ねる「プレイヤー・コーチ」に分けるという構想です。この部分は、私が2023年から運営している「コチコーチング」を思い起こさせます。AI活用が増えても、人が成長できるよう助ける役割は依然として必要だという点においてです。
この計画は大規模な人員削減と併せて見る必要があります。Blockは2026年2月の株主向け書簡で、1万人を超える人員を6,000人未満に減らすと発表しました。4,000人以上が退職を求められるか、関連協議に入る規模です。2025年の売上総利益は前年より17%増加していました。ドーシーは、より小さなチームがAIツールを活用してより多く働けると説明しましたが、削減規模だけでその効果が実証されたわけではありません。
肩書きを変えたあとも、同じ人が同じ決定を下し、同じ報告を受けるのであれば、実際の運営は大きく変わらないかもしれません。改編の前後で誰が何を決定し責任を負うのかを比較する必要があります。
管理職を減らしたという調査とAIの効果は区別すべき

Business Insiderが引用したIndeedの集計によると、2025年の中間管理職の求人件数は前年より12.3%減少しました。求人件数全体も減少しているため、この数字だけでAIの影響を切り分けて計算することはできません。Korn Ferryの2025年の調査では、回答者の41%が自組織で管理階層が減ったと答えました。これは従業員が経験した組織変化を尋ねる調査です。
Gartnerは2024年に、2026年までに組織の20%がAIで階層を減らし、当該組織の中間管理職ポジションの半数以上を廃止すると予測しました。こうした予測を、すでに実現した削減統計であるかのように読んではいけません。
管理階層を減らす理由には、コスト削減や意思決定スピードの改善もあります。AIがその過程で実際にどのような仕事を代行したのかは、別途確認する必要があります。人員減少、残った従業員の業務量、組織の成果を併せて見る必要もあります。
Zapposも権限と責任を定め直す必要があった
Zapposが2010年代に導入したホラクラシー3も比較してみる価値があります。従来の管理職ポジションの代わりに、役割とチーム単位で権限を分けようとする試みでした。
当時のCEOトニー・シェイが推進した変化は、従業員により多くの自律性を与えようとするものでした。しかし役割と意思決定権限を改めて理解する必要があり、転換過程で会社を去った従業員もいました。管理職の肩書きをなくすだけで、協業の方法や責任の問題が自然に解決したわけではありませんでした。
自律的に働く組織にも、予算を承認する人、対立が生じたときに決定を下す人、結果を評価する基準が必要です。この権限を既存の管理職から役割やチームに移したのであれば、どこまで移したのかをメンバーが把握できなければなりません。
ハーバード・ビジネス・スクールのリンダ・ヒル教授は、Business Insiderのインタビューで、異なる専門性を持つ小さなチームがイノベーションに役立ちうる一方で、チーム間の協業をつなぐ人間のリーダーも必要だと説明しました。チーム内の自律性とチーム間の調整は、あわせて設計すべきだという意味だと私は読みました。
Blockは、AIが業務情報を集めて調整する仕事を担えば、これまでの困難を減らせると期待しています。エッセイでも、転換は初期段階であり、一部は試行錯誤を経ることになると述べています。そのシステムが実際にどのような調整業務をどれほどうまく遂行するのかは、今後確認すべき部分です。
Oswarldの視点
私は今回の改編を、働き方の実験であると同時に、会社の将来を投資家に説明するプロセスでもあると見ています。二つの目的がどれほど混ざっているのか、正確な比率を示すことはできません。
MBAで複数の企業事例を学ぶ中で、組織改編には実際の運営を変えようとする目的と、市場に方向性を伝えようとする目的が同時に存在しうると考えるようになりました。Blockの説明もそうした観点から読んでいます。人件費が減って収益性が改善することと、AIのおかげで業務のスピードや質が良くなることは、分けて評価する必要があります。
報告内容を要約し、進捗状況を整理する仕事はAIツールが支援できます。ただし、資源配分や優先順位の調整には、情報整理以上の判断が必要です。同僚間の対立を扱い、業務の文脈を理解し、キャリア開発を助けることまでどの程度任せられるのかは、業務ごとに検証する必要があります。
Netflixの元人事責任者パティ・マッコードも同じインタビューで、AIは人そのものを丸ごと代替するのではなく、一部のタスクを代行するだろうと見ています。Blockのプレイヤー・コーチ構想には、そうした区別があります。情報伝達を減らす代わりに、実務に参加しながら同僚を育成する役割を残すということです。
私が最も確認したいのは、決定権と責任です。複数の役割に業務を分けても、最終決定者が誰なのかを定めることはできます。逆に、肩書きがあっても権限と責任が不明確であれば、問題が生じます。AIが提案した優先順位を誰が承認するのか、誤った判断を誰が正すのかまで定めるべきだと考えます。
おわりに
私は今回の改編の成果を、三つの観点から見てみようと思います。
- 報告や会議が減った分だけ、実際の意思決定が速くなったか
- 残った従業員が実務と同僚育成を同時に担えるか
- 重要な決定の権限と結果に対する責任が明確になったか
サンタクララ大学のジョエレン・ポズナー教授も、新しい肩書きに合った成果目標と測定・報酬の方式が必要だと指摘しました。管理職を何人減らしたかに加えて、変化後の組織が実際にどのように働いているのかを見る必要があります。
参考資料と関連リンク
- Jack Dorsey & Roelof Botha, “From Hierarchy to Intelligence”, Block, 2026年。:Block経営陣が示した組織運営の構想です。
- “Goodbye, middle managers. Hello, ‘player-coaches’ and ‘org leads’”, Business Insider, 2026年。:両社の改編内容と専門家の意見を扱った記事です。
- Block. 2025年第4四半期株主向け書簡, 2026年。
- Korn Ferry. Workforce 2025: Power Shifts。
- “Beyond the Holacracy Hype”, Ethan Bernstein, John Bunch, Niko Canner & Michael Y. Lee, Harvard Business Review, 2016年。:Zapposのホラクラシー実験に関する学術的分析です。自己組織化の可能性と限界をバランスよく扱っています。
- Gartner. 2025年以降のIT・組織変化に関する展望, 2024年。
- Business Insider. Meta Reality Labsの試験的改編, 2026年。

筆者アン・グァンソプ(安光涉)は世宗大学校経営学科教授であり、INLEVEL9のリードコンサルタントである。大学では経営データ管理、ビジネスアナリティクスなど統計・データ分析を教える一方、現場ではGTM戦略とAI戦略コンサルティングを率い、技術とビジネスの接点を設計している。AI対話システムの記憶アーキテクチャ(HEMA)研究で学術論文を発表したほか、毎日グローバルなAI論文をキュレーションするDaily Arxivプロジェクトを運営している。高麗大学校技術経営専門大学院修士課程とKMBAを修了した。著書に『考えを委ねる人々:ホモ・ブレインレス』がある。
각주
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インテリジェンス・レイヤー(Intelligence Layer):Blockのエッセイでは、会社・顧客情報をもとに決済や融資といった機能を組み合わせて顧客に提案するAI機能を指します。社内の状況を把握するモデルと連動しますが、情報伝達業務のみを意味する表現ではありません。 ↩
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DRI(Directly Responsible Individual):特定タスクの結果に責任を負う人のことです。Blockの構想では、複数チームにまたがる課題を担当し、必要な資源を調整します。担う期間はタスクによって異なる場合があります。 ↩
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ホラクラシー(Holacracy):定められたルールに従い、役割と「サークル」と呼ばれるチーム単位に権限を分ける組織運営方式です。役割の責任と権限を継続的に調整します。 ↩

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