第299号

Google広告は25年間、死に続けています

死亡宣告は12回出されましたが、売上高は2,900億ドルを超えました。でも、あのグラフが教えてくれないこともあります

ビジネスGoogle広告は25年間、死に続けています

12回の死亡記事が貼られた一本の曲線

読者さん、タイトルからして「Google Ads is dead」というグラフが1枚あります。2000年から2026年まで広告支出が右肩上がりに伸びる青い曲線の上に、これまで出されてきたという死亡宣告が年ごとの吹き出しで貼り付けられています。

GoogleAds deadsバナー広告は終わった(2000年)。Facebook広告がGoogleを殺す(2007年)。Instagramが検索を無意味にする(2010年)。広告ブロッカーが有料広告を崩壊させる(2012年)。Amazonが広告費をすべて奪う(2014年)。iOS 14.5がターゲティングを殺す(2021年)。Cookieが消えれば終わりだ(2022年)。TikTok ShopとPerformance Max(2023年)、スマート自動入札とChatGPT(2024年)、AIオーバービュー(2025年)。そして2026年の位置にある最後の吹き出しは「AIエージェントがGoogle広告を終わらせる」です。

グラフとともに出回っている文章は、こう整理しています。Google広告は常に進化する、人は買う前に検索する、購買習慣はゆっくり変わる。根拠としては1日140億回を超える検索、2025年の広告売上高2,940億ドル(14%増)、第4四半期の検索売上高17%成長、最も速く成長する検索商品となったAI Maxを挙げる。最後の一文が最も鋭い。最近新たな「キラー」とされるAIモードも、回答の下に広告を表示しているという点です。

メッセージは明快です。騒ぐ人はいつでもいたし、曲線は一度も折れたことがないのだから、今回のエージェントの話も大げさだというわけです。この結論の半分は数字で裏付けられます。残りの半分は、このグラフが描いていないところにあります。

反論記事の数字はおおむね正確、ひとつを除いて

まず、正しい部分から見ていきます。2025年第4四半期のGoogle検索広告(Search & other)売上高は631億ドルで、1年前より17%増えました。1四半期ごとに見ると、2025年の1年間で検索成長率は10%、12%、15%、17%と上がり続けました。2「AIオーバービューが検索を殺す」という吹き出しが付いた年こそ、検索売上高がもっとも速く加速した年だったわけです。

今年も流れは同じです。2026年第1四半期の検索売上高は19%、第2四半期は17%増えて633億ドルになりました。34第2四半期の開示をまとめた資料を見ると、有料クリック数が13%、クリック単価が3%上昇しています。5単価を上げただけで稼いだのではなく、広告がクリックされた回数自体が増えたということです。

間違っている数字は年間成長率です。2025年の四半期別広告売上高を足すと約2,947億ドルになり、2,940億ドルという金額自体は合っています。ただ、2024年の約2,646億ドルと比べると、増加率は11%程度です。14%というのは、同じ年の第4四半期におけるGoogleサービス部門全体の成長率です。1間違っているからといって結論がひっくり返るわけではありませんが、確信に満ちた文章ほど数字が一段階ずつ膨らんでいく、ということは覚えておく価値があります。

AI Maxに関する一文も、少し盛られています。Googleが2025年第3四半期決算発表で述べたのは、AI Maxが「AIベースの検索広告商品の中で」もっとも速く成長しているということでした。全世界展開直後に数十万の広告主が利用しているという説明とともにです。6比較対象が、AIベースの広告商品から検索商品全体へと移されたわけです。

このグラフは何の曲線なのでしょうか

今度はグラフのほうを見てみます。縦軸には「Ad Spend(in billions USD)」とだけ書かれています。誰の広告支出なのかは記されていません。2025年あたりの3,000億ドルという水準はGoogleの広告売上高と近いので、Googleの広告売上高として読ませるつもりで描かれたと見るのが自然です。

ところが、前半部分が合っていません。曲線は2005年の時点で300億ドル近くまで上がっていますが、Googleの2005年の売上高は広告とそれ以外を全部合わせても約61億ドルでした。2014年前後の点は1,000億ドル近くにありますが、その年のGoogleの広告売上高は約596億ドル、2020年の点は1,900億ドル近くにありますが、実際は約1,469億ドルでした。吹き出しの位置もずれています。2007年と書かれたFacebookの予言は2005年あたりの点に、2010年のInstagramの予言は2008年あたりの点に結びついています。

引用文には鉤括弧が付いていますが、誰が言ったのかが書かれていません。誰が、どの媒体で、どのような文脈で語った言葉なのか、確かめる方法がありません。したがって、このグラフは誤った予言の記録というより、反論しやすいように整えた文章を右肩上がりの曲線にぶら下げた絵に近いものです。結論が間違っているという意味ではありません。ただ、この絵が証拠ではなく修辞であるということは、理解した上で見る必要があります。

死んでいないことと、取り分を守れたことは別の話です

グラフが示さない一つ目のことはシェアです。曲線はGoogle一社の売上だけを描いています。市場全体が拡大している間は、一社が取り分を譲っても売上曲線は上がり続けることができます。

eMarketerは、2026年の米国検索広告市場におけるGoogleのシェアが48.5%となり、20年余りで初めて半分を下回ると予測しています。その取り分を最も多く奪ったのはAmazonです。7 2014年の「Amazonが広告費を全部持っていく」という吹き出しは、文字どおりには間違っていました。けれども「検索広告予算の少なくない部分がGoogleの外へ流れる」に言い換えれば、かなり当たった話になります。Facebook、Instagram、TikTokに付いた吹き出しも似たようなものです。Googleを殺すことはできなかったものの、広告主がお金を使う先を増やしました。

興味深いのは、逆方向の予測も先送りされ続けてきたという点です。Googleの検索広告シェアが半分を下回るという見通しは、eMarketerの資料では最初2024年でしたが、8 その後2025年に、9 今は2026年に先送りされています。7 今年2月の見通しでは、2026年のGoogleの米国広告売上成長率を5.6%と見積もり、Amazon(17.9%)、Meta(14.2%)よりもかなり低く見ていました。10 見通しは米国基準で、決算発表の成長率は世界全体の基準なので単純には比較できませんが、上半期の実績だけを見ると、鈍化という予想のほうも外れつつあります。

「死ぬ」という側も、「びくともしない」という側も、一本の曲線で語っているのです。実際に起きたことは、そのどちらでもありませんでした。Googleは大きくなり、同時に広告市場においてGoogleが占める比重はゆっくりと縮んでいきました。

広告主の曲線は別に描くべき

2つ目に抜け落ちているのは広告主です。Googleの広告収益が増えたということは、広告主がGoogleに払うお金が増えたということです。広告主がそれだけ稼ぎを増やしたという意味ではありません。

吹き出しをもう一度見ると、2023〜2024年の3つは毛色が違います。「パフォーマンス最大化(Performance Max)はもう終わりだ」「スマートビディングがGoogle広告を台無しにした」というのは、競合がGoogleを殺すという予言ではありません。Google自身の自動化によって、広告主がキーワードや入札、表示位置を自分で選べる余地が狭まったという不満です。グラフはこの不満を死亡予言のリストに紛れ込ませて、Googleが好調なのだからこの不満も間違っていた、というふうにまとめてしまいます。

その流れは今も続いています。Googleは2026年第1四半期に、顧客の検索広告費の30%以上がAI Maxやパフォーマンス最大化のようなAIベースのキャンペーンを経由すると明らかにしました。11 Digidayが取材した代理店各社は、AI Maxが新たな検索語の領域を開拓したことで検索予算が増えたと述べており、一部はこれによって年間支出が7〜10%増えたとしています。記事は、支出が増えたことが必ずしも満足の表れではない点も合わせて指摘しています。12

広告費をどこにいくら使うかを決める作業をますます機械に任せるようになるほど、Googleの売上曲線と広告主の収益曲線は別々に動きうるのです。Googleの決算発表が見せているのは、その前者の曲線だけです。

AIエージェントは今回は違うのでしょうか

最後の吹き出しに戻ってみましょう。前の11個は、ほとんどが広告を見せる別の場所(フィード、ショッピングモール、ショート動画アプリ)か、人を追跡する方式の変化でした。どちらにしても、結局は人が画面を見て何かをクリックするという前提は同じでした。

AIエージェントが代わりに比較し、代わりに決済するなら、その前提が揺らぎます。広告を読む側が人間ではなくなるかもしれません。だからといってGoogleが手をこまねいているわけではありません。GoogleはAIモードの回答の下に広告を表示する実験を行っており、買い物をするユーザーに割引を直接提示する「Direct Offers」も試験中です。13AIオーバービューに付けた広告は、既存の検索と同程度の水準で稼いでいるとも明らかにしています。6

google ads dead 25 yearsそのため、今回問うべきはエージェントがGoogleの広告を終わらせるかどうかではありません。Googleがエージェントが判断するその場所まで広告枠として売ることができるか、そして広告主がその場所に喜んでお金を払うかです。これまでの曲線は人間がクリックした値で描かれてきました。エージェントが選んだ結果一件に広告主がいくら払うのかは、まだどの公示にも出ていません。

Oswarldの視点

このグラフで一番目を引くのは、予言を外した予言者たちよりも、グラフを作る側の事情です。誰が最初にこの画像を作ったのかは確認できませんでした。ただ、「死んだ」という言葉は新しいツールや新しい講座を売るのに都合がよく、「びくともしない」という言葉は今やっている広告運用をそのまま売るのに都合がいいんです。方向が違うだけで、どちらも不安を扱うやり方です。片方は不安を煽り、片方は不安を笑い飛ばします。

私が思うに、もっと役に立つ問いは「死んだか、生きているか」ではなく、「誰に、いくら渡したか」です。Googleは25年間死にませんでした。その代わり、広告予算の一部をAmazonとMetaに渡し、広告主からは入札とターゲティングに関するコントロール権を少しずつ受け取ってきました。エージェントが来れば、また何かが誰かに渡ることになるでしょう。それがGoogleの売上なのか、広告主のコントロール権なのか、人のクリックそのものなのかは、Googleの売上曲線だけを見ていてもわかりません。

ですから、このグラフを社内会議の資料として使いたいなら、もう一枚足すのがいいと思います。自社アカウントの過去数年分のコンバージョン単価と、広告予算がチャネル別にどう分かれていたかです。Googleの曲線は、Googleがうまくいっているということを示しているだけなんです。

おわりに

Google広告は今回も死なない可能性が大きいです。少なくとも今年上半期の数字はそう物語っています。ただ、「死んでいない」という結論は、広告主に対する答えではありません。25年分の曲線が覆い隠しているのは、誰が取り分を得て、誰が制御権を手放し、誰がその代償を払ったのかということです。


💬 運用されている広告予算の中で、この2年間Googleの取り分は増えましたか、それとも減りましたか? 減ったのなら、そのお金はどこへ流れたのか、コメントで教えてください。

📨 「Google広告はもう終わった」、あるいは「Google広告はびくともしない」という話を最近よく耳にする方が周りにいたら、この記事をぜひ届けてください。

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参考資料と関連リンク

アン・グァンソプ(Oswarld)のイラスト

著者 アン・グァンソプ(Oswarld) は世宗大学校 兼任教授、INLEVEL9 戦略コンサルタントです。経歴、研究、著書、最近の活動は著者紹介で更新しています。 最近の活動 · 2026年7月:HEMA-2: A Consolidation-Aware Tri-Memory Architecture with Multi-Channel Scheduling for Lifelong Conversational AI。

각주

  1. Alphabet Investor Relations, 2025 Q4 Earnings Call・第4四半期の検索広告631億ドル(+17%)。グーグルサービス部門の第4四半期+14%はInvesting.com決算発表全文を参照。年間広告収益と増加率は四半期開示の合算から算出した値です。 ↩ ↩2

  2. Search Engine Journal, Google Search Hits $63B, AI Mode Ad Tests Detailed (2026-02-05) ↩

  3. Alphabet、SEC提出資料FWP(2026年第1四半期要約) ↩

  4. Investing.com, Alphabet Q2 2026決算発表全文(2026-07-22) ↩

  5. Axis Intelligence, Google Ads Statistics 2026・2026年第2四半期10-Qの有料クリック・クリック単価の変化をまとめた第三者資料です。 ↩

  6. Alphabet Investor Relations, 2025 Q3 Earnings Call・AI Maxの説明。AIオーバービューの収益化に関する発言はThe Motley Fool全文を参照。 ↩ ↩2

  7. eMarketer, US Search Advertising Forecast 2026 (2026-05-14) ↩ ↩2

  8. eMarketer, As the duopoly stagnates, Amazon is hot on Meta’s tail ↩

  9. eMarketer, Exclusive data: 4 trends in paid search advertising (2024-10-01) ↩

  10. eMarketer, FAQ on search advertising (2026-06-29) ↩

  11. Yahoo Finance, Alphabet Q1 Earnings Call Highlights (2026-04-29) ↩

  12. Digiday, Google’s AI Max has pushed up search budgets – and costs (2026-05-06) ↩

  13. Yahoo Finance, Alphabet Q4 Earnings Call Highlights (2026-02-04) ↩