電力を10GW多く確保したのに、不足分は19GW増えました
原因はデータセンターの数ではなく、ラック1台あたりの電力です
ビジネスThe QA failure is the straight quotes in the reference section. Fixing:
供給が増えたのに、足りない電力はさらに増えました
モルガン・スタンレー・リサーチが、米国データセンターの電力見通しを改めて出しました。2026年から2028年までに米国のデータセンターで新たに必要となる電力を97GW1としています。今年8月の報告書では68〜69GWでした。
チャートは滝の形をしています。必要な97GWから、現在建設中のデータセンターが確保している21GWを引き、電力網から引き込める19GWを引きます。すると57GWが残ります。ここにガスタービン、燃料電池、原子力発電所の敷地といった代替手段をすべて反映しても、33GWが残ります。必要な電力の34%です。
私がこのチャートで目を止めたのは、中央の二つの棒です。8月の報告書で同じ位置にあった数字は、建設中が約15GW、電力網が約15GWでした。合わせて30GWだった供給が、今回は40GWになりました。1か月余りの間に供給側は10GW良くなった一方、代替手段を入れる前の不足分は38GWから57GWへと19GW拡大しました。供給を増やした速さよりも、必要量を書き直した幅の方がはるかに大きかったということです。
では、必要量はなぜ29GWも増えたのでしょうか。データセンターの計画が突然何十件も増えたわけではありません。
建物ではなく、ラック1台の計算が変わりました
モルガン・スタンレーが上方修正の根拠として挙げたのは、Nvidiaの次世代製品のラック2電力です。Vera Rubinラック1台の電力を149kWから234kWへ、その次の世代であるRubin Ultraは415kWから600kWへと上げました。それぞれ57%、45%の上昇です。これはNvidiaが公式発表した仕様ではなく、モルガン・スタンレーの推定値である点は考慮すべきです。
感覚をつかむために、一つ計算してみます。1か月に300kWhを使う家庭なら、平均して0.42kWほどを常に使っている計算になります。234kWのラック1台は、そうした家庭560世帯分ほどの電気を一日中引き込んでいるということです。データセンター1棟には、こうしたラックが数百、数千台入ります。
ここでよく出てくる反論があります。チップが良くなれば、同じ仕事をより少ない電気でできるようになるのではないか、というものです。演算1回あたりの電気は減る可能性があります。しかし、今この産業が売っている単位はチップ1個ではありません。GPU 72個や144個をメモリ、ネットワーク、冷却装置とともに一つの機械のようにまとめたラックが1単位です。チップを密に詰め込むほど、その間をつなぐメモリとネットワークがより多くの電気を消費し、その熱を抜く冷却もより多くの電気を消費します。チップの効率とラックの電力は、別の方向に動くことがあります。
そのため、今回の上方修正は「AI需要がさらに過熱した」という期待値調整とは性格が異なります。同じ計画を対象に、その計画に入る機械1台分の電力推定を書き直したのです。モルガン・スタンレーは2027〜2028年を、このラック単位の設計へ移る変曲点と見ています。チップ1個をうまく作る競争から、ラック全体をどう電力供給するかという競争へ移るということです。
足りない電力を誰が埋めるのかを見ると
二つ目のチャートの方がより興味深いです。電力網の外で電気を確保する方法が棒グラフとして並んでいるんです。業界ではこれを「タイム・トゥ・パワー」、つまり電気をどれだけ早く引き込めるかという問題と呼んでいます。電力網に新規接続するには地域によって5〜7年待たなければならないため、その列に並ばない方法だということです。
これらの数字は成功確率を掛け合わせた値です。要約資料によると、タービン・エンジンは中央値19GWに成功確率90%、燃料電池は5GWに90%、原子力発電所の敷地は3GWに75%と設定されています。掛けて四捨五入すると、チャートの17、5、2が出てきます。ビットコイン採掘場のように、すでに電力設備がある敷地をデータセンターに転用する方法も13GWと別途計算されていますが、建設中の分量と重複しないよう、このチャートには別枠で反映されているとのことです。
私は二つの点に目が留まりました。
一つ目は、最大の棒がガスだという点です。足りない電力を埋める主力は、新しい送電網でも原子力発電でもなく、データセンターの隣に建てるタービンです。データセンターが電気を買ってくる顧客から、自前の発電所を抱える施設へと変わっているということです。
二つ目は、一社の名前が棒一本を占めている点です。一企業の燃料電池供給能力が、稼働中の原子力発電所の敷地全体よりも大きく見積もられています。これは原子力発電所の規模が小さいからというより、2028年という期限内に実際に接続できるかどうかで判断しているためです。この計算で重要なのは発電単価ではなく、設置の速さです。
そして、これらすべてを足しても33GWが残ります。
33GWが残るということは
停電が来るという意味ではありません。計画されたラックのうち相当数が、2028年までに電力を受け取れずに遅れる、という意味に近いです。お金があってGPUがあっても、差し込む場所がなければ、そのGPUは倉庫で待つしかありません。
モルガン・スタンレーは、この不足が電力だけの問題ではないと見ています。人、電力、政治という三つのボトルネックを合わせて挙げています。発電設備とデータセンターを建設する熟練人材が不足しており、地域住民の反対や規制が敷地確保を遅らせているというのです。期間を2029年まで延ばすと、不足分は72GWまで拡大すると見込んでいます。
ただ、この数字を読むときに覚えておくべきことがあります。必要量がわずか数週間で29GW動いたということは、この見通しがラックの電力仮定一つにどれだけ大きく揺れるかも示しています。Nvidiaが実際に出す仕様や、顧客企業の導入ペースが変われば、数字はまた変わるでしょう。私がこの報告書から持ち帰るのは、33という値そのものよりも、不足を膨らませた変数が建物の数ではなく、機械1台分の電力だったという事実です。
Oswarldの視点
私がいつも言っていることがあります。すべての人、すべての仕事に超知能が必要なわけではありません。仕事や環境に合ったモデルがそれぞれあります。
この話をするとき、私は主にコスト、セキュリティ、使う人の環境を理由に挙げていました。今回のチャートは、ここに電力という理由をもう一つ加えます。電力が最も足りない資源になると、どの仕事を最大のモデルに送るかは、個別企業の好みではなく、電気をどこに使うかという配分の問題になります。600kWのラックで動くモデルで議事録を要約するのが、果たして正しい配分なのかを問うことになるのです。
そのため、私はこの報告書を「AI投資が止まる」というシグナルとしてだけ読みません。最大のモデルが必要な仕事とそうでない仕事を分ける基準が、技術の問題から資源の問題へ移りつつあるというシグナルとして読みます。その基準を先に立てた組織が、電力が足りない2〜3年をより揺らぐことなく乗り切るでしょう。
おわりに
必要な電力は97GWに上がり、供給は増えたものの追いつきませんでした。差を広げたのはデータセンターの数ではなくラック1台分の電力推定であり、足りない電力を埋める主力はデータセンター脇のガスタービンです。それでも33GWが残ります。
💬 読者さんの組織で、今最大のモデルで処理している仕事のうち、もっと小さなモデルで回しても構わない仕事はありますか?頭に浮かんだ業務一つと、そう考えた理由をコメントで教えてください。
📨 AIインフラ投資やデータセンターの立地を検討している同僚がいたら、この記事を伝えてください。
参考資料と関連リンク
- Morgan Stanley Research, 「Potential Shortfall in Power for US Data Centers, 2026-28「 および 」Potential US Power Shortfall for Data Centers, 2026-28」(Exhibit 1、Exhibit 4)。……今回の記事の出発点となった二つのチャートです。97GW、57GW、33GWと代替手段ごとの寄与分がここから出ています。
- “‘Capital alone no longer clears a site’: Morgan Stanley says data centers’ big money era is over”、Fortune、2026年8月20日。……今回の上方修正の直前にあたる8月の報告書における38GW不足の見通しと、ガスタービン・燃料電池・原子力発電所敷地・採掘場転用という代替手段のリストを紹介しています。
- “Morgan Stanley sees up to 20% shortage of US power for data centers through 2028”、Investing.com、2025年11月。……1年前は代替手段反映前が44GW、反映後が13GWでした。同じ銀行の見通しがどのように変化してきたかを比較する際に参考になります。
📝 用語解説
각주
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ギガワット(GW):電力の大きさを示す単位で、1GWは100万kWです。大型原子炉1基の出力がおおよそ1GWであるため、データセンターの電力を語る際には、原子炉何基分かで感覚をつかむこともあります。 ↩
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ラック(Rack):サーバーを層状に差し込んでいく棚状の機器フレームです。最近のAIデータセンターでは、数十個のGPUとメモリ、ネットワーク、冷却装置を1つのラックにまとめ、一つの大きなコンピューターのように設計・販売しています。 ↩
-
計量器の後ろ側(BTM、Behind-the-Meter):電力網から電気を買う代わりに、電力計量器の内側にある施設の敷地内で直接電気を作って使う方式です。電力網への接続を待たなくてよい点が最大の利点です。 ↩
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燃料電池(Fuel Cell):水素や天然ガスといった燃料を燃やさずに、化学反応で電気を作る装置です。モジュールを積み重ねる方式のため、大型発電所より短い期間で設置できます。 ↩

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