国民銀行のAI処理率41%、相談員は業務負担増を訴えました
AIが処理した問い合わせの割合と、人に残った業務時間は別物です。銀行相談の現場と研究をもとに、AI配置の方法・解決基準・担当者設計を見ていきます
ビジネスAIが処理した問い合わせが増えても、残った相談はより難しくなり得ます
国民銀行の2025年のAI相談処理率は41.3%でした。京郷新聞がイ・ジョンホン議員室を通じて入手した資料をもとに、今年4月に報じた数値です。相談人員は1,133人から869人に減ったと伝えられています。
記事に登場する相談員のチェ・ナヨン氏は、以前は1日70件を適正な水準と見ていたものの、現在は100~120件を受けていると語りました。簡単な問い合わせをAIが処理する一方で、人には難しい問い合わせが残ったという説明でした。この件数は当該相談員の証言であり、銀行全体の相談員の平均を測定した数値ではありません。
私がチェ・ナヨン氏の証言で引っかかったのはこの点です。処理率は上がったのに、その人が受ける通話数はむしろ増えたということ。問い合わせ10件のうち4件をAIが処理したからといって、人が使う時間も40%減ったとは見なせません。どの問い合わせを処理したのか、残った問い合わせにどれだけ時間がかかるのか、何人で分担しているのかが同時に変わるからです。
例えば、短い案内の問い合わせは自動で処理しても、複雑な異議申し立てや補償交渉は人が担うことがあります。その過程で人員まで減れば、残った相談員に業務が集中しかねません。導入計画で処理件数だけを見て人員を算出すると、見落としやすい部分です。
銀行別の結果は一方向には動かなかった
同じ報道に掲載された他の銀行のデータも見ておく価値があります。
| 銀行 | 報道された結果 |
|---|---|
| 新韓銀行 | 2024年のAICC導入後、相談人員が693人から2025年には697人に増えました |
| 農協銀行 | AI処理率は2023年25.6%、2024年20.7%、2025年21.7%でした |
| トスバンク | AIが相談10件中7件を処理したものの、2026年2月のチャットボット満足度は36%、既存コールセンターの満足度は72%でした |
| ハナ銀行 | 2024年の自社調査で、コールボットを最後まで利用した顧客の53%が不満を示しました |
この表は、同一の技術を同一条件で試験した結果ではありません。導入時期やシステム、顧客と問い合わせの構成が異なります。満足度調査についても、チャネルごとの利用者と回答者が同一だとは見なせません。表だけで、どのモデルやどの銀行の運用方式がより優れているかを判定するのは難しいでしょう。
ただ、AI導入がそのまま人員削減や満足度向上につながるわけではないという点は示しています。処理率が下がったときも、原因をさらに見る必要があります。回答品質が悪化した可能性もありますが、処理対象や問い合わせの構成、あるいは集計基準が変わった可能性もあります。
そのため、私は導入結果を比較する際には、どの問い合わせにAIを適用したのかをまず確認すべきだと考えています。「相談AI導入」という名前のもとに、互いに異なる仕事をするシステムがひとまとめにされているからです。
オペレーターを支援するAIと顧客に直接対応するAIでは役割が違う
ブリニョルフソン・リー・レイモンドによる2025年の学術論文は、ある企業のカスタマーサポート担当者5,172人を分析しました。オペレーターに回答案を提示するツールを段階的に導入したところ、時間当たりの解決件数が平均15%増加しました。ツールはオペレーターにのみ提案を表示し、オペレーターはそれを修正することも、従わないこともできました。Generative AI at Work
効果は一様ではありませんでした。経験や熟練度の低いオペレーターほど恩恵が大きく、最も熟練した層では速度の改善が小さく、品質がわずかに低下する結果も見られました。ごく頻繁な問題やごく稀な問題よりも、中程度に稀な問題で利得が大きくなりました。問い合わせが頻繁であることと簡単であることは同じ意味ではありません。
この研究は、顧客にAIが単独で対応する方式の効果を測定したものではありません。人間の判断とAIの提案が組み合わさって働いた結果です。この15%を、チャットボットを導入すれば削減できるオペレーター人員の割合に読み替えると、前提条件が変わってしまいます。
二つの配置方式は次のように分けて考えられます。
| AIを置く位置 | 主に期待される支援 | 人に残る仕事を確認するための問い |
|---|---|---|
| オペレーターに回答を提案 | 情報検索と回答作成の支援 | 提案の検討にどれくらい時間がかかり、どの問い合わせで役立つか |
| 顧客がAIとまず対話 | 一部の問い合わせの直接処理 | どの問い合わせが人に引き継がれ、すでに交わされた会話が引き継がれるか |
実際のサービスでは二つの方式を併用できます。AIがすべての簡単な問い合わせを引き受けるとか、支援型ツールが問い合わせの構成を一切変えないなどと一般化する必要はありません。導入前後の問い合わせの種類と処理時間を直接比較するほうが正確です。
とりわけ、顧客がAIと対話したうえで人に引き継がれた場合、オペレーターはすでに失敗した案内を訂正しなければならないことがあります。顧客が同じ説明をもう一度しなければならないなら、不満がさらに大きくなる可能性もあります。単純に「人への引き継ぎ1件」として数えるだけでは、こうした追加の負担は見えてきません。
節約した時間がどこに使われたかも見る必要があります
韓国銀行の支援を受けたソ・オ研究チームは、2025年5~6月に国内就業者5,512人を対象にアンケート調査を実施しました。直前の1週間に生成AIを使用した集団の時間節約は平均3.8%、非使用者を含む全体の就業者に換算すると1.4%でした。業務時間と産出量の変化は回答者による申告値です。Generative AI and the Reallocation of Time
時間節約と産出量変化の相関係数は0.008と非常に低い値でした。時間が大きく減ったという回答が、産出量を大きく増やしたという回答と線形に結びついてはいなかったということです。研究チームは固定された割当量、勤務中の余裕、業務の再配分などを説明として提示しています。
すべての業務で時間が減ったわけでもありませんでした。分析対象の156の業務のうち140では時間が減りましたが、顧客クレーム対応や物理的な調整など一部の業務では時間が増えたと報告されています。これだけで特定の銀行相談員の業務増加の原因を立証することはできません。ただ、全体平均と個別業務の変化が異なりうるという点で、併せて見る価値はあります。
私はこの結果を「韓国はAIを使っても成果を出せなかった」という意味では読みません。同じ量をより少ない負担で処理することも利益です。その時間が休息に回されたのであれば、労働者の観点からは価値があるかもしれません。産出量を増やすことが目標であれば、他の業務の制約やインセンティブまで確認する必要があります。
コールセンターにおいても、何を得ようとしているのかをまず定める必要があります。同じ人員で待ち時間を減らそうとしているのか、難しい問い合わせにより長く対応しようとしているのか、労働強度を下げようとしているのかによって、必要な配置や評価基準は変わります。節約した時間のすべてを人員削減に換算する前に、この選択が先にあるべきです。
回答の作成以外に担う必要がある業務
私は相談AIの運用業務を四つに分けて考えると役立つと思っています。新しい役職が四つ必ずできるという意味ではありません。誰がどれだけの時間を割いて行うのかを見落とさないための区分です。
| 業務 | 具体的に行うこと | 残すべき結果 |
|---|---|---|
| 回答と相談対応 | 回答の作成、例外的な問い合わせへの直接対応 | 顧客の要求と実際の処理結果 |
| ナレッジ管理 | 最新の方針・価格・例外規定の更新 | 適用時点と担当者が明確なナレッジ資料 |
| 品質評価 | 失敗事例の検討、評価基準の管理 | 繰り返し確認すべき事例と判定根拠 |
| 例外復旧 | 人に引き継ぐ条件、補償・再処理手続きの管理 | 担当者・権限・処理期限が定められた復旧手続き |
例えば、返金方針が変わった場合、新しい文言を掲載するだけでは十分でないことがあります。既存の購入者にどちらの方針を適用するかを決める必要がありますし、AIが例外をきちんと区別できているかも確認しなければなりません。誤った案内を受けた顧客に誰が改めて連絡し、どの権限で処理するのかも必要です。
会話全体を自動で採点できるようになっても、評価業務がなくなるわけではありません。採点基準が現在の方針と合っているか、曖昧な事例をきちんと判定できているかを確認する必要があります。機械が「解決」と表示した会話の中に、実際には顧客が諦めてしまった事例があるなら、それを見つけて基準を修正する作業が残ります。
この業務を既存の相談員や管理者に任せることはできます。ただし、既存の処理目標をそのままにして業務を追加すれば、総業務量は増えます。教育時間、検討時間と運用権限をあわせて割り当てる必要があります。人員計画では、自動化した件数だけでなく、この業務に必要な時間も計算しなければなりません。
製品ごとに異なる「解決」の条件
処理率を比較するには、何を解決とみなしているかを知る必要があります。供給者の集計基準は課金基準としても使われるため、契約前に確認すべき項目です。
Finは、顧客が解決済みだと表示した場合と、回答を受けた後に追加の助けを求めなかった場合を区別しています。後者は推定された解決です。挨拶だけ交わした場合や、回答のないまま確認の質問だけをした場合まで自動的に解決扱いになるわけではありません。同じ会話の中で後から追加の助けが必要だと言われた場合、既存の解決課金が差し引かれる仕組みもあります。
また、Finが定められた手順を完了した上で人間に引き継いだ場合は、課金対象の結果になり得ます。解決できずに単純に引き継いだ場合とは区別する必要があります。「人間に引き継いだから無料」あるいは「何も言わずに離脱したから無条件で有料」とまとめてしまうと、条件を見落とすことになります。Fin結果課金のご案内
Zendeskが2026年5月に導入した等級は、人間に引き継いだ場合、追加の要求なく会話が終わったものの検証に通らなかった場合、そして検証済みの解決を区別しています。前の二つのケースは解決許容量から差し引かれず、最後のケースは会話内容を言語モデルで評価して解決かどうかを確認します。既存アカウントは以前の方式のまま残っている場合があるため、適用バージョンも確認する必要があります。Zendesk解決等級
供給者による検証も、運用組織による確認を完全に代替するものではありません。顧客が同じ問題で再び連絡してきたか、別のチャネルに移動したか、補償や再処理が必要だったかは、別途集めなければならない場合があります。
処理率には、モデルの能力、接続された知識やツール、人間に引き継ぐルール、問い合わせの構成が同時に影響します。ルールを変えれば数値は変わり得ますが、だからといってモデルの性能が重要でないという意味ではありません。何が変わって数値が動いたのかを確認する必要があります。
運用指標は、以下の項目を併せて見ることをお勧めします。
- AIが直接処理した件数と集計基準
- 同じ問題で再び入ってきた問い合わせと、別のチャネルに移動した件数
- 人間に引き継がれた問い合わせの種類と処理時間
- 顧客満足度と回答者の構成
- 相談員の後処理・レビュー・復旧にかかる時間と業務負担
満足度は回答しなかった顧客を見落とす可能性があり、再問い合わせ率もチャネルをまたいで顧客を追跡できなければ低く出ることがあります。指標を一つ追加するだけで終わらせず、実際の不満や失敗事例を定期的に読む必要があります。
Oswarldの視点
私は自動化率を見るとき、その数字の裏にある業務配分もあわせて見る必要があると思っています。数字が上がったのなら、どんな問い合わせが自動化され、残った問い合わせは誰に回されたのかを確認するということです。その人が元々担当していた業務と一緒にこなせる量なのかもです。
生産性が上がったとき、その利益が誰に還元されるのかも重要です。先ほどのカスタマーサポートの論文は、報酬に関する資料を直接持っていたわけではありません。インタビューを受けた管理者たちは、成果給が増えた可能性を語りつつも、その後目標値が引き上げられれば、その利益は長続きしないかもしれないと警告していました。実際に賃金が増えなかったと結論づけた研究ではないのです。
韓国国内の報道では、AI導入度の高いコールセンターの推定平均賃金が、未導入センターより低いという分析も出ています。この差だけでAIによる賃金押し下げ効果を確定することはできませんが、通話数と成果給を結びつけた構造の中で、自動化による利益がどう配分されているかを検討する理由は十分にあります。
熟練者の役割も見直す必要があります。先ほどの論文は、優れたオペレーターの対話が学習データとしても価値を持つ点を指摘しています。熟練者がAIの提案に従うだけになれば、新しい解決策が生まれにくくなる可能性も今後の課題として残されています。私は、そうした人材に応対処理以外の知識整理や品質評価を任せるのであれば、その業務に費やす時間と報酬もきちんと認めるべきだと考えます。
請負構造では、業務知識が契約変更のたびに途切れないようにする必要があります。ポリシーの例外事項や顧客対応の文脈を把握している人が離れてしまえば、文書だけでは足りないこともあるでしょう。誰が資料を管理し、誤りを修正し、次の担当者に引き継ぐのかを決めておく必要があります。
結局のところ、私が人員計画の前に確認したいのは担当者です。知識資料を更新する人、失敗事例を検証する人、顧客に改めて説明し復旧対応をする人を先に決めるべきです。その業務を残った人員に上乗せしながら、「問い合わせが減ったのだから業務も減った」と計算してはいけないと思います。
自動化が純雇用を維持してくれる保証はありません。同じ産出量に必要な人数が減ることもあり得ます。だからこそなおさら、処理率と労働時間、サービス品質をそれぞれ測定する必要があります。減った問い合わせと新たに生まれた運用業務をあわせて計算して初めて、人員削減が残った人の過重負担につながっているかどうかがわかるからです。
導入の成果には、顧客の問題を解決した結果と、その結果を生み出す人の業務負担が、あわせて含まれるべきだと思います。
💬 AIが処理できなかった問い合わせは、誰に引き継がれるのでしょうか。その担当者には、検証と復旧のための時間が別途割り当てられているでしょうか。
参考資料と関連リンク
- 京郷新聞、AI導入コールセンター、月給も削られた、2026年4月15日:銀行の資料と現場インタビュー
- Brynjolfsson・Li・Raymond, Generative AI at Work、QJE 2025年掲載版:相談補助ツールの効果と限界
- Suh・Oh, Generative AI and the Reallocation of Time、2026年2月:韓国の就業者アンケートに表れた時間・産出・業務構成の変化
- Fin, 結果に応じた課金の案内
- Zendesk, 自動解決レベルの案内・従来方式と適用アカウントの案内
あわせて読む:AI顧客対応、解決1件の基準・検証業務と担当者設計

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