Googleが90日前通告で解除できるスペースXの契約
売上高が92%成長したスペースXの第2四半期決算と、2026年末以降に90日前通告で解除可能なGoogleの計算資源賃貸契約、そして取り消せない設備投資の実態を読み解きます。
ビジネス完璧な成績表、そして5週連続で崩れた株価
去る8月4日、スペースXが上場後初となる成績表を発表しました。
第2四半期の売上高は78億1,000万ドルで前年同期比92%成長。1株当たり損失は0.09ドルとなり、予想の0.26ドルの損失を大幅に上回り、調整後EBITDA1は35億4,000万ドルを記録しました。CFOは「12月基準で年換算1,000億ドルのランレート」を公言しています。どの項目を見ても非の打ち所がない四半期決算です。
そして、株価はその日から崩れました。8月5日の1日だけで13.6%急落し、108.27ドルで取引を終了。5週連続の下落であり、6月の公募価格135ドルを20%下回り、高値の225.64ドルからは半値にまで落ち込みました。
通常、このような展開は「ロックアップ解除に伴う売り圧力のせい」として片付けられがちです。本日8月6日がちょうど9億1,150万株のロックアップ解除日であるため、間違った説明でもありません。しかし、私はもっと長く尾を引く問題が別にあると考えています。今回、市場が読み取ったのは決算書ではなく契約書です。スペースXの成長エンジンであるAIコンピュート賃貸契約には、顧客がわずか90日前の事前通告だけで離脱できる条項が盛り込まれているからです。
ロケット会社の売上は、もはやロケットからは生まれない
まず、この会社が今どのような企業になっているのかを整理しておきましょう。今年2月にスペースXがxAIを吸収合併したことで(合算企業価値1兆2,500億ドル)、私たちが知っていたロケット企業とGrok・Xは一体化しました。そのため、決算書の部門別構成は以下のようになっています。
| 部門 | 第2四半期売上高 | 前年同期比 | 営業損益 |
|---|---|---|---|
| 宇宙(打ち上げ) | 9億6,200万ドル | +29% | -5億4,200万ドル |
| コネクティビティ(スターリンク) | 42億9,000万ドル | +66% | +16億6,000万ドル |
| AI(Grok・X広告・コンピュート賃貸) | 25億6,000万ドル | +247% | -12億6,000万ドル |
ロケット事業の売上は、全社売上のわずか12%に過ぎません。利益を生み出しているのはスターリンクのみであり、成長率が爆発しているのはAI部門です。市場がこの会社に1兆ドルを超える価値を付けた理由も、本日その評価を削り落としている理由も、すべてこの表のAI部門にあります。
AI部門の数字をもう少し詳しく見てみましょう。調整後EBITDAはプラス11億4,600万ドルです。直前の第1四半期の6億900万ドルの赤字から、わずか1四半期で黒字転換を果たしました。しかし、同部門の営業損益はマイナス12億5,700万ドルです。この二つの数字の間にある約24億ドルもの乖離の大部分は、減価償却費2によるものです。
二つの数字をあわせて読むと、こういう意味になります。キャッシュは稼げているものの、そのキャッシュを稼ぐために買い入れた設備の減価償却費が、それを上回る規模で計上されているということです。